四月/卯月
桜前線急接近
花明かりを目印にした
嘘に混ぜた真実を探して
満天星の花は知っている
永遠を容易く紡げた頃
三月/弥生
見返りを求めた訳ではないけれど
貴方を癒す華は何処?
貝寄風が攫っていったの
涙で飾った卒業式
二月/如月
カカオの甘い誘惑
気まぐれ春時雨
高貴なる猫の恋
初花月に見る華の名は、
一月/睦月
初春を寿ぎて舞い踊る
七福神の名のもとに
冬桜の下で雪見酒を
ひと月遅れのサンタクロース
友愛と自己愛を秤にかけた
十二月/師走
炬燵の中で追いかけっこ
恥ずかしがり屋の嫉妬
讃美歌の降り注ぐ夜
年の終わりに卒った恋
十一月/霜月
竜潜月の稀跡
探求、追求、理想の恋
人間関係交差点
七で隔たる領域
十月/神無月
神の居ぬ間に作戦会議
くるみ割り人形の大義
秋雨前線注意報
無垢なだけじゃ詰まらないでしょ?
桜紅葉舞う夕暮れ
九月/長月
超能力というよりは、きっとただの女の勘
郷愁を呼び起こす光
甘やかな香りは初恋に似て
秋の夜長の過ごし方
八月/葉月
青空に愛されし太陽の花
二人寄り添い見上げた星月夜
燻る紫煙を送り火代わりに
運命の絆だなんて何て胡散臭い響きだろう
七月/文月
愛逢月に捧げる祈りは
白扇の陰で、そっと微笑
夕凪に心を映したなら
勝利の色に魅せられて
其れは涼しげな啼き声を遺して砕け墜ちた
六月/水無月
春と夏の狭間を詠う
傘の華を一輪どうぞ
水たまりに映った空には
蝸牛よりもゆっくりのんびり
五月/皐月
メーデーメーデー、救難せよ
愛を泳いだ恋幟
風に運ばれた残り薫を抱いて
未来を予言する石
君に名前を呼ばれた気がした
(↓old)